コンセプト
by: くとの
いま、「人文学」と言うとどうでしょう?古い?つまらない?もういらない?筑波大学でも、華やかなお隣さんや実力派の理工系に囲まれ、肩身が狭いものです。
そんなのではつまらない、何かやっちゃおう――2011年の第37回筑波大学学園祭(雙峰祭)の「TSUKUBAN BEAUTY 2011」(男女混合ミスコンのようなもの)に出場を決めたあしやまひろこさんのパフォーマンス衣装として、人文学類のとあるゼミ有志で初音ミク電飾ウェディングドレスを制作、みごと優勝を飾ってから全てが動き出しました。
学内・学外でのステージパフォーマンスや出展を重ねながら、「人文学をおもしろく、そして新しい展開を」といつも考えてきました。一見するとただのコスプレにも見えるかもしれませんが、そんなことはありません。小難しく言うと、人文学(特に哲学/宗教学)の抽象的概念を表現できるプラットフォームを構築しようとしていて、これまでに2題制作した電飾ドレスはその試行例です。でも、何か変わったことを言って煙に巻けばいいなんてことはありません。見ておもしろい、すごいと思ってもらえる作品制作とパフォーマンスを目指しています。
それとともに、作品制作では「思想の実装」をどこかで意識しています。人文学と言えば文字によるアウトプットが当たり前ですが、人文学に関わる学生には表現を志向する学生も多くいます。自分たちが学んで考えたこと、感じたことを何らかの形で具現化する道を探ってみたいと思いました。2011年のゼミでは20世紀の宗教学者ミルチア・エリアーデの「悪魔と両性具有」を読みましたが、男と女といった「反対の一致」というテーマが初音ミク電飾ウェディングドレスに反映されています。2012年のゼミでは同じくエリアーデの「光の神秘的体験」を読んでいますが、「光と存在」という問題意識は、西洋古代思想の「(光り輝く)魂の乗り物」という概念とともに、フルカラーLEDショールのドレスに繋がっています。
もちろん、人文的コンセプトの実装を「探究-制作-表現」で進めるのは容易ではありません。いっそのこと、ただ「作ってみた」の方がいいという考えもあります。しかし、単に「面白い」モノづくりでなく、「人文系でこそ作る」意味や可能性を求めて、「作る人文学」を目指していきたいと考えています。
ニコニコ動画に投稿した動画を再掲します。